解決事例報告

万引きで現行犯逮捕。本人の心からの反省と家裁調査官との協働で処分を軽く

2012.11.02 中村里香

窃盗罪(万引き)で現行犯逮捕され、家庭裁判所に送致された少年(高校3年生)について、私が付添人に選任されました。

少年は、中学校時代に起こした傷害事件について保護観察中であり、他にも複数の前歴があったことなどから、厳しい処分も予想される事案でした。

早速、少年の母親と面談すると、少年が高校入学後はきちんと通学しようと努力していることや、家庭では幼い妹の面倒を見ている様子などを聞くことができました。また、高校卒業後の就職先が決まっていることも分かりました。

その後、少年の高校の担任教諭とも面談し、少年が課題や実習に粘り強く意欲的に取り組む一面があることなど、学校での様子も聞くことができました。

更に家裁調査官とも面談したところ、調査官は、今回の非行は偶発的・機会的なものであり、少年の非行傾向は進んでおらず、むしろ高校進学以降は落ち着いてきているとの考えでした。また、調査官としても、就職先が決まっていることや、少年が自ら被害者に対する謝罪文を書くなどして内省を深めていることを重視してくれました。

そこで、調査官とも連絡を取りながら少年に働きかけ、少年が自分の感情をコントロールできるようにしなければならないとの自覚に至るよう何度も話をし、反省文も書いてもらいました。

また、少年が書いた謝罪文は、私が被害者(少年が万引きをした店舗の店長)のもとに持参しました。これらの事情を私が意見書にまとめ、裁判所に提出し、結果、少年は保護観察処分となりました。

本件では、少年が非行を反省するとともに、自分自身の内面に真剣に向き合ったことに加え、調査官と付添人とが同じ方向を向いて協働できたことが、よい結果につながったのではないかと思います。