解決事例報告

交通事故で後遺障害認定後、無関係の病気で死亡。保険会社との交渉がうまくいかなくなり…

2010.09.15 鎌田幸夫

Xさんの奥さんのA子さんは、交通事故に遭われ、後遺障害5級の等級認定が受けられました。A子さんは症状固定時、50歳の専業主婦でした。

ところがAさんが、保険会社と示談交渉中に、交通事故とは全く無関係の癌で51歳で亡くなったのです。保険会社との交渉がうまくいかなくなり、Xさんが相談に来られました。

私の方が、裁判を担当しましたが、(1)入通院治療費、(2)休業損害、(3)入通院慰謝料、(4)後遺障害慰謝料、(5)後遺障害逸失利益を請求しました。
問題は、(5)の逸失利益です。通常、症状固定時50歳の場合、次のように計算します。

基礎収入×0.79(5級の労働能力喪失率)×11.274(ライプニッツ係数・稼働年齢である67歳まで)

ところが、Aさんは51歳で亡くなっていますから、67歳までの逸失利益が請求できるかが問題となります。最高裁の判例は、症状固定時において後遺障害の全損害が確定するという解釈をとり、その後に事故と無関係の病気でなくなっても、被害者の相続人が確定した逸失利益を請求できるとしました。

裁判でも、判例を前提とした和解が成立しました。