解決事例報告

借地借家Q&A その7(期間満了)

2019.08.27 谷真介

Q 賃貸マンションを借り,もうすぐ2年になります。
契約書では契約期間は2年間となっていましたが,私としてはそのまま住み続けるつもりでした。
ところが,家主から「契約期間は2年なので出て行って欲しい」と言われて困っています。
出て行かなければならないのでしょうか。

 

A 出て行く必要はありません。

 

借家について契約期間が定められている場合であっても,借主は引き続き住み続けたい場合は家主に契約更新を求めることができます。
契約書に契約更新について記載があるときはもちろんですが,契約更新について特に記載がなくても,更新を求めることは可能です。

借主が契約更新を求めているにもかかわらず,家主が契約を更新しないことを「更新拒絶」といいます。

家主が「更新拒絶」をするには,期間満了の1年前から6か月前までの間に借主に通知しなければなりません(借地借家法26条)。この期間に借主が「更新拒絶」の通知を受けなければ,元の契約と同一の条件で契約が更新されたことになります(ただし契約期間は定めがないものになります)。
本件の場合,家主の「更新拒絶」が期間満了の直前であったのであれば,そもそも立ち退く必要はありません。

では家主の「更新拒絶」が上記期間内にされた場合には,借主は契約期間満了で立ち退かなければならないのでしょうか。
その場合であっても,家主が「更新拒絶」をするには,家主側に「正当事由」が必要とされています(借地借家法28条)。

実務上では、家主側に「正当事由」が認められるハードルは相当高く,簡単に借主を立ち退かせることはできません。

また、借主として、この機会に立ち退いても良いと考える場合であっても,相当額の立退料の支払を求めることはかまわないでしょう。

 

 

谷弁護士の借地借家Q&A解説シリーズ