解決事例報告

借地借家Q&A その8(家賃の滞納)

2019.09.27 谷真介

Q 賃貸マンションを家賃5万円で借りて住んでいます。これまできちんと支払っていたのですが,病気がみつかり手術のため長期入院をしなければならなくなりました。入院・手術費用がかかり,また仕事を休んだため生活が厳しく,5か月間家賃を滞納してしまいました。この度,家主から,2週間後までに滞納分を全て支払わなければ借家の契約を解除すると言われています。放っておいても大丈夫でしょうか。

 

A 放っておくと借家契約を解除され,退去しなければならない可能性が高いです。どうしても退去は困る場合には,滞納を解消する努力をすべきです。

 

契約一般のルールでは,一方当事者が義務を怠った場合には,もう一方の当事者は催告(早く義務を果たしてくださいという督促)の上,契約を解除することができます。
借家契約における借主の義務は,決められた賃料を決められた時期に支払うことです。賃料を滞納すると,その義務を果たしていないことになりますから,家主から催告の上で契約を解除され,立退きを迫られる危険があります。

少額の滞納であったり,滞納がはじめてであったり,家主との信頼関係を破壊するに足りないとされる場合には,契約解除が認められない場合もあります。これは総合判断なので幅がありますが,2~6か月の滞納が契約解除が有効になる目安だといわれています。

契約解除を避けるためには,家主からの「いつまでに滞納賃料を全て払ってください」という催告に対して,借主として誠実に対応するしかありません。
催告期間内に滞納を解消することがベストですが,それができない場合でも,滞納の大部分を解消した上で,残りの滞納分について現実的な分割案を示すなど,「誠実な対応」の努力をすることが大事です。
催告されているのに、そのまま放っておくと確実に契約解除されるでしょう。

借地借家法で借主は手厚く保護されていますが,裁判所は賃料不払いについては借主にとても冷たいです。
家主からの催告を放っておいて,契約を解除されてから「やっぱり支払います」と言っても,後の祭りになりますのでご注意ください。

 

 

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