解決事例報告

名ばかり管理職で残業代なし…退職後に請求の裁判

2011.06.28 谷真介

依頼者は某遊技営業の店長的立場にある方で,毎月深夜まで残業をされており,退職を契機に一切支払われていない残業代請求をしたいと相談にこられました。

店長だからという建前でタイムカードはありませんでしたが(労働者である以上何らかの形で時間管理がなされなければならないのでこれは違法です),依頼者は毎日出勤時間と退勤時間のメモをとっておられましたので,それで労働時間を特定し,約1,000万円を請求する本裁判を起こしました。

労働時間については,依頼者の方が主にセコムの施錠,解錠をされていたため,裁判所の文書送付嘱託という手続を利用してセコムの記録を取り寄せ,その解錠時刻や施錠時刻で補強の立証をしました。

会社側は依頼者は労基法41条2号の管理監督者であり残業代は支払われないという主張もしましたが,労基法41条2号の管理監督者とは,単なる管理職はこれに当たらず(いわゆる名ばかり管理職),予算や人事権があり,かつ出退勤に自由があるなど,経営者と一体的な立場にある者しか当たらないとされています。

この方の場合は店長といっても何らの権限もなく,管理監督者には全く当てはまる余地がなかったため,裁判官は依頼者が管理監督者でないことを前提に残業代を相当額を支払うように和解を勧め,結局その内容で和解が成立しました。