解決事例報告

旅行会社の添乗員、日記や手帳のメモ、パソコンのログなどで残業時間を立証

2009.01.27 中西基

旅行会社で添乗員として勤務していた方が未払残業代の支払いを求めて労働審判を申し立てた事案です。

ご本人はすでに1人でも加入できる労働組合に入って会社と団体交渉をしてきましたが、会社側からはわずかの解決金を支払うという答えしか得られなかったことから、労働審判を申し立てることになりました(06年12月)。

賃金(残業代を含む)は2年で消滅時効にかかってしまいますので、2年前から現在までの分しか請求できません。逆に言えば、退職した後でも2年前までの残業代なら支払いを求めて訴えることができるわけです。

本件では労働組合による団体交渉によって会社側からタイムカードが提出されていましたので、残業時間を立証することは容易でしたが、タイムカードが確保できていないケースや、そもそもタイムカードが存在していないケースについては、本人の日記や手帳のメモ、パソコンのログ、入門・退門の警備記録などから立証しなければなりません。

本件では、会社側から、(1)管理・監督者である、(2)事業場外みなし労働時間制の適用があるとの主張がなされましたが、最終的には、ほぼ納得できる内容で調停が成立しました(07年3月)。