解決事例報告

消費者問題 その7 サクラサイト(インターネット)詐欺

2018.05.31 名波大樹

インターネット上で異性との出会いを仲介する、いわゆる出会い系サイトを利用した詐欺があります。
ここで異性と出会い、サイトを通じたメールのやり取りをするためには
サイト業者に(メール1通1000円など)手数料を支払う必要があります。
「私の財産1億円をあげる」と言われ、いつどうやって財産の受け渡しをするかの
打合せのためということで、相手から何百回とメールのやり取りを要求され、
数百万円から、多いときに数千万円の手数料を払ってしまう方もおられます。
「財産をあげる」というのはもちろん嘘で、
いわゆる「サクラ」が偽名を語ってやり取りをしているのです。

この手の「サクラサイト詐欺」においては、恋愛感情を利用して課金をさせる方法ではなく、
財産の譲渡をエサして課金をさせるものがほとんどです。
高額の課金をしても財産を譲ってもらえれば十分に元が取れるため、
高額の課金に対する抵抗感がほとんどない状態となります。
多少冷静になり、詐欺ではないかという疑いを持つのは、たいてい一定程度の課金をした後です。
しかし、この時点でやめればこれまでの高額の課金が全て無駄となるため、
これまでの課金額を取り戻すために課金を続けるしかなく、
崖を転がり落ちていくような恐怖感を感じながらもやめることはできません。
完全に資金が底をつき、借入も限度額に至り、心理的にはまだまだ課金をしたくても、
それ以上の課金が物理的に不可能となった時点で初めて法律家に相談に行くというケースが多いのです。

もちろんこのような行為は詐欺であり、犯罪ですが、
警察が逮捕できることは少なく、被害金が返ってくることもまれです。
例外的に、クレジットカード払いなどで、まだカード会社に支払いをしていないような場合は、
その支払いを免れることは交渉次第で可能です。

ただ、いずれにしても、このような詐欺の実体を事前に学習し、被害を未然に防ぐことが最も重要です。