解決事例報告

相続の基礎「配偶者居住権~4月1日から施行!」

2020.04.23 西川翔大

【配偶者居住権~4月1日から施行!】

2020年4月1日から、改正相続法のうち「配偶者居住権」と「配偶者短期居住権」が施行されましたので、「配偶者居住権」について簡単に解説します。

 

例えば、夫名義の建物(1000万円の価値)と1000万円の預貯金を相続財産として甲名義の建物に長年居住し続けてきた妻が夫に先立たれた場合(相続人は妻と子ども)、妻が建物に居住し続けたいならば、妻が夫名義の建物を相続しないと無償で居住できず、妻が1000万円の建物を相続しているため、子どもが1000万円の預貯金を相続することになります。しかし、これでは妻は金銭的な相続はなく、老後の生活に困ってしまいます。

 

ここで、「配偶者居住権」が認められれば、妻は建物すべてを相続しなくても、建物に居住する権利が認められます。つまり、子どもが建物所有権を相続した場合にも、妻に配偶者居住権が認められ、妻は建物を使用・居住する権利が認められます。その結果、妻は預貯金を相続することができ、老後の生活のための金銭的余裕が保たれます。

「配偶者居住権」は、相続人間の遺産分割協議や審判によるほか、被相続人から「建物に配偶者居住権を取得させる」旨の遺贈や死因贈与契約によって認められます。

今回、法律が施行されたことをきっかけに、家族間で亡くなった後に建物に誰が住むのかをきっちりと話し合ってみてはいかがでしょうか。