解決事例報告

相続の基礎Q&A5「特別受益~相続人間は公平に」

2020.04.23 西川翔大

Q5.【特別受益~相続人間は公平に】

私は3兄弟の次男です。私の父は生前に、兄が不動産を購入するために1000万円援助していました。また弟には200万円の遺贈がなされていました。父が亡くなった当時(母は既に死亡)の相続財産は、1400万円の預貯金のみでしたが、私は何ももらっていないのに相続財産を均等に3等分した分だけが私の相続分となるのでしょうか。

 

A. 特別受益を考慮して計算すると、相談者さんの相続分は800万円、兄の相続分は0円、弟の相続分は400万円となります。

被相続人から特別に利益を得た相続人がいる場合に、法定相続分のとおり相続したのでは共同相続人の実質的公平を図れない場合があるため、その不公平を是正するため「特別受益」の制度が設けられています。

特別受益者の具体的相続分の計算は次のとおりです。

 相続財産+特別受益(遺贈を除く)×法定相続分―特別受益額(贈与・遺贈)

したがって、相談者や兄弟の具体的相続分は次のような計算となります。

相談者:(1400万円+1000万円)×1/3=800万円

兄  :(1400万円+1000万円)×1/3-1000万円(マイナスは0円)

弟  :(1400万円+1000万円)×1/3-200万円=600万円

このように、前もって被相続人から特別に利益を受けた場合には、何も得ていない相続人との間で不公平が生じてしまいますので、相続分を算定するにあたって生前に受けた贈与や遺贈が特別受益として考慮されます。