解決事例報告

相続の基礎Q&A6「遺留分~相続の期待の保護」

2020.04.23 西川翔大

Q6.【遺留分~相続の期待の保護】

私の父が今年の3月末に亡くなりました。私は父の前妻との間の子どもですが、父は遺言により後妻との間の子「太郎」に「土地や財産を全て太郎に譲る」と記載していたようです(相続人は、相談者、後妻、太郎)。私は、このような遺言がある以上、一切何も相続できないのでしょうか。

 

A.いいえ、一定の相続人には少なくとも遺留分が認められます。

遺留分(いりゅうぶん)は、相続の期待を保護するために、兄弟姉妹(及びその代襲相続人)を除く法定相続人(すなわち配偶者、子、親)について、最低限の相続取得分のことをいいます。具体的には、各法定相続分の2分の1の遺産です。例えば、相談者の法定相続分は4分の1なので、その2分の1である8分の1が遺留分となります。

ただし、遺留分を確保するためには「遺留分減殺(げんさい)請求権」を遺贈や贈与があったことを知ったときから1年以内(あるいは相続人の死から10年以内)に行使しなければなりません。

ご相談のような遺言によって全財産が一人の相続人に遺贈された場合や死因贈与、死亡1年前の生前贈与によって遺留分が侵害されている場合、遺留分減殺請求権を行使することによって、遺留分を侵害する限度で遺贈や贈与の効力を失います。そして、2019年7月1日から遺留分侵害額に相当する金銭を請求することができるようになりました。遺留分に関するご相談は北大阪総合法律事務所までお寄せください。