解決事例報告

自己破産、生命保険を解約しても生活再建の財産を確保する「自由財産拡張申立」

2010.11.05 谷真介

依頼者は景気が悪く商売が傾き、また自身の生活も苦しく、銀行や消費者金融から負債を抱えることになり、それが約300万円まで膨らんでしまったという方でした。

収入は年金しかなく返済は不可能となり、自己破産を選択せざるをえませんでした。ただ依頼者には生命保険がありました。依頼者は高齢で生命保険を解約すると次は加入できないため、どうしても解約をしたくないという意向をお持ちでした。

生命保険は自己破産申立時の価値(そのとき解約したら戻ってくる金額)が財産価値とみなされ、これが一定高額になれば(20万円以上)、原則として解約して金銭に換え、その金銭を債権者(貸主)の方々に配分して返さなければなりません。

しかし「自由財産拡張申立」という制度がありますので、これが認められれば、破産者の財産のうち合計99万円までは自己破産をしても生活再建に必要な財産として保有が認められます。

この依頼者の場合も、生命保険の解約返戻金額が99万円には満たなかったので、自由財産拡張申立をしてこれが裁判所に認められ、依頼者は生命保険の解約をせずに自己破産ができました。今では、収入の範囲内で新たな生活を開始されています。