解決事例報告

退職後の残業代請求。会社に赴き、タイムカードを確保して残業代請求へ

2011.11.26 中村里香

Bさんは,会社を退職後,未払い残業代請求をしたいということで相談に来られました。

Bさんの会社では、タイムカードにより出退勤管理がされていましたが、タイムカードはBさんの手元にありませんでした。

またBさんに部下がいたことや、Bさんが行っていた業務内容から,会社側がBさんについて,残業代の発生しない「管理監督者」に当たると主張し,この点が争点となることも考えられました。

そこで,まずはタイムカードと,Bさんの管理監督者性を否定する証拠を確保するため,証拠保全を申し立てました。

証拠保全とは,主に,訴訟の準備段階において相手方の手元にある証拠を申立人が確保するための手続です(民事訴訟法234条以下)。証拠保全は,保全の必要性(証拠の必要性や,証拠の破棄,改ざんの可能性など)を疎明して裁判所に申し立て,実際に裁判官らが現地に赴いて行います。

本件でも,裁判官,書記官とともに,私を含む代理人がBさんの勤務していた会社に赴き,タイムカードを初めとする証拠を確保することができました。

その後,確保した証拠を検討し,タイムカードに基づいて計算した残業代を請求する労働審判を申し立てましたが,この申立てに対し,会社側から和解の申し出がありました。双方で話し合った結果,第1回期日前にBさんの納得できる水準で訴訟外で和解が成立し,和解条項に従って労働審判を取下げ,本件は終了しました。

*この件は,当事務所の細見茂弁護士,野口啓暁弁護士(現・野口法律事務所)とともに担当しました。