解決事例報告

DVで離婚。しかし親権を譲らず、逆に家を出たことへの慰謝料を請求してきた…

2009.01.27 森平尚美

相手方が明らかに婚姻を継続しがたい長年の暴言の数々を繰り返していた事案です。

どの裁判官も離婚原因自体は認めると思われるようないわゆるDV系の事案でしたが、調停においては、当初は婚姻継続を望み、離婚自体を承諾してからも、未成年子の親権を譲らず、逆に家を出たことについて当方に対する慰謝料を請求したいとの意向が強すぎて、数回の期日を経ても合意には至りませんでした。

それでも、調停期日を重ねる中で、当方が未成年子の養育の実態を事実上形成していったため、調停の後半では既に学校生活、近所との人的関係などの子どもの福祉状態の好ましい基盤が出来上がり、裁判に移行してからの生活状況についての調査官の報告においては、当方の親権獲得に有利な報告書を作成して頂くことができました。

裁判では、相手方が本人訴訟であったための手続上の混乱はありましたが、最終的には当方の希望通りの親権を獲得でき、慰謝料を含めた財産分与についても、希望に近い相当な金額を判決で獲得できました。

任意交渉から開始した事案なので調停を含めて全体で1年半以上はかかりましたが、裁判に入ってからは既に争点が明確になっていたため、速やかに解決しました。

たしかに陳述書の作成や、本人尋問など、裁判ならではの煩雑さもありますが、どう頑張っても話し合いが通じる余地のない相手方の場合には、調停で争点を明確にしながら、その間に将来を見据えて自己の生活基盤を整えつつ(生活費が足りない場合には、同時に別件で婚姻費用の調停申立を行って、調書に基づいて離婚成立までの間の婚姻費用を確保することが可能です)、裁判で決着をつけることも有効な解決策のひとつといえるでしょう。