学校法人追手門学院・退職強要研修・面談事件 提訴
2020年8月24日,学校法人追手門学院の職員3名が,学校法人追手門学院,同学院理事長(弁護士),追手門学院が後記「研修」を委託した株式会社ブレインアカデミー,「研修」を実施した講師を相手どり,退職強要行為の差止め,合計2200万円の損害賠償並びに休職期間満了で解雇(自然退職扱い)された1名については労働者としての地位の確認(解雇の無効)を求めて,大阪地方裁判所に提訴しました。
2016年8月22日から26日にかけ,追手門学院は,18名の事務職員に対し,ブレインアカデミーに委託する形で,「自律的キャリア形成研修」と称する研修を受講させました。
しかし,その実態は,受講者を退職や退職の上で特定事務職員に変更することに同意させることが目的としか考えられないものでした。5日間・毎日8時間行われた研修の内容は,ブレインアカデミーの講師が講師が受講者らに対し,2017(平成29)年3月末での退職してもらうと述べ,全員の前で「あなたのように腐ったミカンを追手門の中においとくわけにはいかない」,「戦力外なんだよ」,「老兵として去ってほしい」,「虫唾が走る」,「明確に負のオーラばっかり」などと,業務とは全く関係のない人格非難を繰り返すというものでした。
また追手門学院は,その研修後も退職等に応じず現状維持を希望する原告らに対し,業務命令として拒否できない形式で面談を受けさせました。その面談でも人格非難を受けたり,退職等をしないと明言してもなお執拗に退職等を迫られました。
これらの結果,研修を受けた18名の受講者の多くが退職や休職を余儀なくされたり,精神に不調を来して心療内科等に通院するなどの状況に追い込まれました。
本件において,教育機関である追手門学院が,対象者を業務指示による研修の形で別施設に集め,外部講師に委託した上で,5日間計40時間にもわたって人格非難も用いて,退職させることを目的としか考えられない「研修」を行ったこと,また研修後も理事長が率先する形で(組織として行われたものと評価できます)退職強要と評価される行為を行ったこと,一連の行為により受講者の多くが退職や休職,心療内科等への通院を余儀なくされたことからすると,極めて問題のある事案といえます。
原告となった3名の職員は,その後3年以上も精神疾患を患っており,未だに回復の兆しが見えず,今もなお当時の恐怖感が拭えず動けなくなることがあるなど,日々の生活に支障をきたしています。
原告らの体調が回復して復職したとしても,追手門学院が本件当時と同様の職場環境であれば再び発症する危険があります。
本件裁判は,追手門学院らの行為の違法性を明らかにすることにより,原告らの受けた苦痛に対する賠償を求めるとともに,追手門学院を職場環境にも配慮した適切な職場にすることを目的としています。