生活費が支払われない…離婚調停と並行して分担請求の審判を
2009.06.02
森平尚美
別居後、数ヶ月に渡り、十分な婚姻費用が支払われない案件で、離婚意思がある場合には、離婚調停と平行して、婚姻費用分担請求の審判を申立することを多く行います。(離婚の意思までは無い場合にも、相手方が支払い請求に応じない場合には、単独で申立することがあります。)
ただし裁判所の傾向として、切迫した経済的な危機状態がなく、現時点でどうにか食費が捻出できている、余裕はなくとも親族から何らかの援助がある、等の事案においては、「審判」という裁判に似た裁判所からの一方的な決定をするのではなく、とりあえずは話し合いを試みて下さいとの趣旨で、「調停」の手続に移されることが多いです。
実際には、そのためにますます支払いが遅れることも多々あるため、特に幼少の未成年子がいるケースなどでは、費用請求する側が困惑することもあります。
ただ、最終的に婚姻費用分担を認める場合には、申立の時点まで遡って過去の費用も請求できることから、早期に申立をしておくことには一定の意義があります。
また、財産分与などの算定の際にも、この点を実質的に考慮することも可能です。相手方の継続的な円滑支払いが望めない場合には、早期に申立することが望ましいでしょう。