解決事例報告

異議申立により、不当な逮捕・勾留から釈放!

2017.08.09 安原邦博

不当な逮捕・勾留!!

異議申立て(刑事訴訟法429条:準抗告)で勾留から釈放されました。

 

ある日,Xさんは,突然,自宅に警察官が現れて逮捕されました。

 

容疑(被疑事実)は,昨年末に起きた,ある町の路上での器物損壊事件。Xさんには身に覚えがありません。しかし,警察官から見せられた写真には,自分が器物損壊をしている姿がバッチリ映っています。

 

実はXさんは,ストレスが過度にかかると異常行動を起こしてしまう持病を患っています。しかもその持病の症状で,異常行動をしている間の記憶が後に残りません。

 

Xさんは,写真を見せられ,自分が犯人であることは間違いないと思い,警察官や検察官に,「持病のために記憶はないが,自分が犯人に間違いないと思う」と伝えました。

 

したがって,検察官としては,この時点でXさんを釈放すべきでした。

 

なぜなら,逮捕,勾留として,容疑者(被疑者)を拘束するには,

①定まった住居を有しないか,

②罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるか,または,

③逃亡し又は逃亡すると疑うに足りる相当な理由がある

といえなければならないからです(刑事訴訟法60条)。

 

しかしXさんには自宅がありますし,そもそもこの事件を起こしたのは持病のせいですし(起こそうと思って起こしたわけじゃない),自分が犯人であることも認めていて,当時の記憶がないので被害者への接触等も不可能ですし(「罪証隠滅」のしようがない),また,家族もいるため,どこかに逃げるなんてあり得ず,①~③のどれにも当てはまりませんでした。

 

このような事情があるにも拘らず,検察官は不当にも勾留請求をし,その請求を受けた裁判官も,唯々諾々と勾留を認めたのです。

 

Xさんから依頼を受けた私が,Xさんの主治医やご家族の協力のもと,異議申立て(刑事訴訟法429条:準抗告)をし,その際に上記のような事情を改めて明らかにしたところ,無事,勾留の不当性が認められて,Xさんは釈放されました(その後,Xさんは,被害者への謝罪や弁償等をすることができました)。

 

Xさんの事件で改めて私が感じたことは,本来認められるべきでない逮捕・勾留が,簡単に認められてしまっているという現実です。不当な身体拘束をされた際には,諦めずにご相談を!!