不動産の「押し買い」にご注意ください
朝日新聞に、『安く買いたたかれた自宅、住み続けるはずが…高齢者狙う「押し買い」』という記事が掲載されていました。
https://www.asahi.com/articles/photo/AS20250328002903.html
「押し売り」ならぬ「押し買い」とは、買取の相談や査定を申し込んでいないにもかかわらず、突然に、自宅へ訪問してきた不動産業者が、強引に自宅を買い取ってしまうというものです。全国の消費生活センターには、60歳以上の高齢者の自宅売却に関する相談が年間800件以上も寄せられています。
当事務所で取り扱ったケース
<ケース①>
自宅とは別に賃貸マンションを所有していた方が、不動産業者に言葉巧みにだまされて、時価1700万円くらいのところ、わずか350万円で売却する契約書にサインさせられてしまいました。
弁護士がご相談を受けた時点では、すでに代金決済と登記名義変更が済んでしまっていました。
大急ぎで、「処分禁止の仮処分命令」を申し立てたうえで、詐欺または錯誤を理由として契約を取り消すと主張しました。不動産業者側と交渉した結果、相当額の解決金を支払わせることで解決することができました。
<ケース②>
知的障がいのある60歳代の方が、親から相続した持ち家に一人で暮らしていました。ある日、自宅に金融業者がやってきて、家を明け渡せと言ってきました。本人は近所の方に相談し、驚いた近所の方が弁護士に相談されました。
弁護士が調査したところ、自宅には金融業者が譲渡担保(所有権移転登記)を設定していました。金融業者は本人が署名した800万円の借用書も持っていました。弁護士から、金融業者に対して、意思能力を欠いた状態での契約であり無効だとする内容証明を送付し、抹消登記手続請求・債務不存在確認の訴訟を提起するとともに、本人について成年後見制度の申し立てもしました。
最終的には、訴訟で勝訴して、無事に自宅を取り戻すことができました。