北大阪セミナー「戦後80周年企画 ガザ地区、シリアの現地取材より報告」(特別講師 西谷文和さん)のご報告
1 はじめに
去る8月6日、広島の原爆投下の日から80年、戦後80周年企画ということでフリージャーナリストの西谷文和さんをお招きして、「ガザ地区、シリアの現地取材より報告」というテーマでご講演をいただきました。多くの方が北大阪総合法律事務所の会議室やZoomからご参加いただきました。
2 イスラエル・パレスチナ紛争の現状報告
西谷さんからは、はじめに紛争の背景について説明され、イスラエルとパレスチナの紛争について、二度の現地取材を基に映像と写真を交えた報告が行われました。
アラブ人が殺害された現場を訪れた際の映像や現地の方へのインタビュー、イスラエル側にも取材を行い、イスラエル側が情報統制を行い、イスラエル軍の行動に対する国際的な批判を「嘘」だと思わせたり、TikTokなどを通じてパレスチナ人を批判したり戦争を賛美するような情報が流すことで、時間が経過するほどにイスラエルとパレスチナの分断が根深いものになっている現状をご報告いただきました。
3 シリアの現地取材
また、西谷さんから、シリアの現地取材の様子もご報告いただきました。空爆によって崩壊した街やがれきの山などシリアの内戦の様子や化学兵器の使用について映像を交えて説明され、戦争の武器が進化している恐ろしさを指摘し、ウクライナ戦争、ガザ戦争などがつながっていることを説明されました。
4 中村哲さんのアフガニスタン用水路の建設
最後に、西谷さんは、アフガニスタンの干ばつから住民を救った日本の医師の中村哲さんの活動について紹介されました。
西谷さん自身が、中村さんを取材され、中村さんのアフガニスタンでの用水路建設によって、多くの人に水を届けることに成功したことが紹介されました。飢餓と水不足に悩む住民が豊かに安心して暮らすことができることを第一に行うような平和活動が戦争を食い止めるうえでは重要な活動となってくることを紹介されました。
5 最後に
今回の北大阪セミナーでは、多数の映像や写真を通じて、我々が普段のニュース報道でも見ることができない、緊迫した現場の場面やリアルな戦争の現状を知ることができました。情報統制を通じて、現地で生きている人の意見や現地の人を取り囲む雰囲気なども操作され、戦争に反対する勢力は弱まり、戦争を肯定的にとらえる動きが活発化している現状に恐ろしさを感じました。
日本でも、真偽が定かではない情報に翻弄され、やがてそのような情報を信じ込み、ますます戦争の悲惨さや恐ろしさから目をそらしてしまう動きが広がりつつあることから、決して他人ごとではないと思いました。改めて戦争を引き起こさないために私たちにできることは何かを考える機会となりました。