解決事例報告

上司や同僚の逆恨みで突然の解雇…解雇権の濫用で労働審判申立

2009.09.27 谷真介 鎌田幸夫

契約期間の途中で勤務態度が悪いと解雇された契約社員の相談でした。

その方はそれまで真面目に仕事に取組み,社内では表彰も受けるほどの仕事ぶりで契約の更新も数回なされていました。しかし上司や同僚に逆恨みされ,事実を曲げた告げ口により,いきなり期間途中で解雇されました。

勤務態度の悪さが解雇の理由とされましたが,解雇されるまで注意指導がなされたことはありませんでした。

労働者の解雇には「正当な理由」が必要とされます。これがなければ使用者の解雇権の濫用とされ,解雇は無効となります。

そして契約期間途中の解雇の場合,この要件はさらに加重されると考えられており,期間が終了することを待てないほどの「やむを得ない事由」があることを使用者が証明しなければなりません。本件では,到底この要件を満たすことはありえませんでした。

相談者は当初,このような仕打ちに納得できず,解雇が無効であることを明らかにして復職することを希望していました。その場合には裁判をするほかなく,その場合には裁判をしている間に契約期間の終了時期が来てしまうという難しい点がありました。

裁判をしてその時点での契約打ち切りをも争うという途も考えられましたが,悩んでいる内に,その方は有能な方であったため他の職場から誘われ次の仕事が見つかりました。

そこで復職は望まないものの,解雇の無効を明らかにして裁判所に金銭的な保障を求めて労働審判を申立てることにしました。

2回目の労働審判期日で,契約残期間分の賃金相当額と賞与額+αで調停が成立しました。労働審判であったため相談にこられてから数ヶ月で短期に解決した事例となりました。