解決事例報告

自動車にはねられ死亡。加害者が自賠責保険しか入っていない場合

2011.06.18 鎌田幸夫

Aさんの夫は夜間、近所の店に買い物に出かけ、横断歩道を歩いて横断中に、自動車にはねられて亡くなりました。運転手が煙草を探すためにダッシュボードに目をやり、前方から視線を外したことが原因でした。

運転手の前方不注意の過失は明らかであり、遺族であるAさんや子どもさんは、加害者を相手として損害賠償を求めました。ところが困ったことに、加害者が、自賠責保険(強制保険)しか加入しておらず、任意保険に加入していませんでした。Aさんは、自賠責保険に請求して、3,000万円の賠償金を得ました。しかし、加害者が任意保険に加入しておらず、かつ、加害者にめぼしい財産がないため、それ以上の賠償を得ることが難しい状況でした。

Aさんから、相談を受けた私は、Aさん側が、何か保険に加入していないかを確認しました。そうしたところ、亡くなった夫が、人身傷害保険に加入していることが判明しました。

加害者が任意保険に加入しておらず自賠責保険以上の賠償を受けれない場合や、任意保険には加入しているが被害者にも過失があり過失相殺分の賠償を受けれない場合など、被害者側で加入している人身傷害保険があると、定まった保険金額を賠償を受けることができます。

そこでAさんは、人身傷害保険を請求し、夫の死亡に伴う賠償額6,000万円から受領した自賠責保険3,000万円を控除した3,000万円を受け取ることができました。

交通事故にあった場合、相手方の任意保険の加入の有無の確認はもちろんですが、自らの加入している保険の種類も是非確認するようにして下さい。